岩石削り出し風貌のパノラマカメラ、WIDELUX F8。
パノラマ業界には昔、35ミリ写真の上下を切り取っだだけの「トリミング疑似パノラマ」が流行ったけど、これはレンズがぐるっと回って撮影する、いわば「旋回パノラマ」。
こうした正しいパノラマカメラにはほかに、富士のTX-1のように35ミリ2コマ分を使った「増設パノラマ」がある。
ボタンを押すと、じ~~っと140度回転する。
製造元は「パノン商会」という日本メーカーで、ワイドラックスは1959年の初代から、モデルチェンジを経てこのF8は1988年発売の最終型になる。デラックスなワイドカメラ=ワイド・デラックス=ワイドラックス、いい調子だ。
シャッタースピードは1/15、1/125、1/250の3段階
絞りはF2.8~F11まで。
重量850グラムと、ずっしり重い。
シャッターが最高250までしかないので日中はASA100くらいのフィルムじゃないと、オーバーになってしまう。
この時間、この場所はこのフィルムで、と限定用途のカメラなのだ。
140度の超広角だと、よくこんなことがある。
指がどうしても映り込んでしまうので、1000円程度のボトムグリップは必須だ。
デジカメでは、複数の画像を加工処理して360度画角の写真をつくれるスマホアプリもある。
でもこのワイドラックスのような旋回パノラマカメラの画像は、人工的につくろうとすると手間がかかるし無理も生じる。
時代が変わってもこのカメラでしか収められない世界、絶対領域がある。